板金設計技術

  

板金設計への思い

仁張工作所は創業以来、精密板金・箱物板金を生業として、社会に様々な板金製品・板金加工部品を提供して参りました。元々設計者である創業社長仁張清之介が、自分で設計したスチール製品や部品を製造していたこともあり、これまでの設計図面・データ・ノウハウの蓄積は多大なものとなっています。

一方で世間を見渡するに、私たちの精密板金・箱物板金業界も技術革新の波を受け、寸法精度・加工方法・外観基準などあらゆる面でめまぐるしく変化しています。
時代に適合したデザイン性や機能性を持つ板金製品・板金部品の提供をし続けることが日本の中小製造業として強く求められる昨今、確固とした設計技術力の維持・発展は、今後ますます強く求められるニーズである、と考えます。

当社は、様々な分野のお客様のご要求に“板金サプライヤー”“OEM製品提供”“別注スチール家具”“オリジナルロッカー”という4本の柱(カテゴリー)でお応えしていきたいと考えます。そこには、ご要求をカタチにする設計力が必要不可欠です。仁張工作所はこれまでの板金設計ノウハウを大切にしつつも、新たな手法・技術を貪欲に取り入れることで、板金製品を通じてお客様に満足をご提供し、頼れられるパートナー・サプライヤーでありたい、と考えます。

自社設計の強み

仁張工作所の設計技術における強みは大きく、以下の2点に有ると考えます。

ひとつは、『様々な業界の板金加工製品について過去に実績があり図面データが豊富であること』です。
例えば、産業機械における筐体やカバー・内部構成部品等については、お客様から頂戴した図面を拝見し、以下の3つのことを行います。

  1. まず第一に頂いた図面の内容を忠実に再現する。
  2. その中で、自社で加工(設備)上対応できないところがあれば、お客様に相談(申請)し、打開策(代替案)を提案する。
  3. 加工性質上、コストが高くなってしまう場合やご予算に合わない場合には、求められる機能やデザインに影響が無いかを確認した上で、コストダウン案を提案させていただく。

これらの取り組みをスムーズに実践できるのは、50年近くに渡る精密板金・箱物板金の実績と図面データに拠るところが大きいといえます。

そしてもうひとつが、『お客様のイメージ(イラスト等)を板金図面に転換する設計・技術力』です。 これは、ロッカー・キャビネット等の什器・家具類のご依頼時に多いケースであり、引合いの内容にもよりますがある程度製作のご依頼が固まった段階で“承認申請用の図面”を作成、提出させていただくことがあります。オーダーメイド品のご注文をいただいた場合には、必ず当社で"承認申請図面"を作成し、ご承認をいただいた後に、製作に取り掛かるようにしています。

=設計(モデリング)事例=

技術課の取組み

1) 設計の種類

主に当社技術課で行っている設計業務は、大きく次の3つに分けられます。

設計の種類 設計の目的
1)商用設計 お客様からの引合に対する商談やお客様との契約内容の確認に用いる図面類作成のために行う設計業務
2)開発設計 新規製品やモデルチェンジの開発、改良のための製品設計、もしくは研究用の設計を指し、機能及び構造 設計等を行う。
3)製作設計
(詳細設計)
製品の製作のために行う設計を指す。予め開発設計や商用設計を行っている場合も有る。
当社では、製品図の他、部品表、バラ図、詳細図等『製作指示書類』を作成する。

2) 設計・開発の流れ

技術課は、お客様からの要求事項(インプット情報)の確認、製造部へのアウトプット項目の確認(デザインレビュー)を下記フロー図の要領で実施しています。

技術課は、お客様からのインプット情報の確認、製造部門へのアウトプット項目の確認(デザインレビュー)を、下記のフロー図の流れで行っています。

設計・開発フローチャート

3) 確実な製品実現に向けての取組み

当社では、お客様の要求される製品についてデザインや寸法などの他、その製品に必要とされる“機能分析”を十分に行います。「収納物は何か、強度は問題ないか、長年使用しても問題が発生しないか、駆動部の信頼性」など。当社は単に板金部品で終わらない"完成品”としての製品を数多く提供してきました。『品質に責任を持ち顧客の信頼にこたえる』を品質方針として掲げ、常に不良品を送流出させぬよう、初回品を提供する前には十分な確認作業を実施しています。

そのチェック機能としては、フローの中で大きく2つの関所を設けることを運用ルールとしています。 1つ目は"DR-1(デザインレビュー1)”。これは、技術課が営業課に対して行う、お客様要求事項の再確認です。 「寸法は合ってるか、部品は揃っているか、その他営業が伝えたお客様要求事項は全て満たされているか」など項目全てをチェックします。

そして2つ目が、“機能分析”にあたる“DR-2(デザインレビュー2)”です。この業務も技術課が主体となって実行していきます。 事前に作成しておいた“製品計画書”や“初回品管理カード”、“製品検証表”などの製作指示書類をツールとして、「実際に組立工程後の半完成品段階で、意図した用件をクリアしているか、強度的に問題ないか、駆動部分は大丈夫か、」など多岐に渡る項目についてチェックしていきます。

4) 設計検証

お客様からの要求事項(インプット情報)を確実に製品仕様に反映すべく、技術課では製品ができ上がるまでの様々な過程において、設計検証を行っていきます。図面での確認はもちろん、試作品の検証・テストによる試験データの検証等、様々な手法で品質確認を行います。

設計検証の取り組み内容

検証の方法 検証の目的 実施時期
1) 類似の証明済設計方法の結果との比較による検証 構造、部材構成、機能、作動、品質性能の適正 設計前、ならびに設計時
2)別法(計算等)による検証 強度、耐久性能の基準のクリア 設計時、ならびに必要時
3)社内外の規格、規定及び法規等の規制事項との比較による検証 適正な確保 設計時、他
4)製造段階での文書・記録類の確認による検証 設計の、製造上の評価の確認 製造工程内
5)試作データによる検証 1)2)3)に関する現物及び試験データによる確認
4)に関する現物による確認
主に組立工程、仕上完了時
6)製品データによる検証
7)試験データによる検証
8)その他の方法による検証 要求項目や製品特性から、必要と思われる事項検証 適時

5) 設計妥当性の確認

製品要求事項のレビューのひとつとして、技術課は“設計の妥当性の確認”を行います。
機能性・安全性・強度面・環境配慮面等、幅広い視点で品質確認を行います。

【妥当性確認項目】妥当性確認は、可能な限り実際の使用状態、条件に近い状態で行うことが要求されている。

確認事項 確認目的、方法等
1)取扱い性 使用目的に対する機能、性能の妥当性と扱い(使用)限度の確認。
使い易さ(作業性を考えた大きさ、形状、高さ)
2)安定度 横荷重や傾斜状態での倒れ易さ、復元程度の確認。
誤使用への対抗程度の確認。
耐候性など環境に対する安定性。
3)強度 耐荷重性、耐衝撃性、耐久性、耐候性等を適切な試験により確認する。
4)安全度 制動、逸走防止など安全対策の確実性
使用者など取扱者に対する安全対策の確認(PL対策など)
5)環境要求事項対応 顧客の要求した環境適応性を満足しているかの確認
指定された環境負荷防止部材の使用確認
その他環境法規制への適合性確認
6)その他 その他要求された諸事項に対する妥当性の確認

CADを駆使した設計業務

仁張工作所では、現在技術課のメンバーが9名在籍しており、CAD・CAM・図面管理等の業務を行っています。 設計業務の手法も、時代の変遷、お客様や商品の変化の中で大きく変わってきています。
弊社も2007年頃までは2D設計を主に行っておりましたが、現在では圧倒的に3D-CADを使った設計を行うことが多くなっています。3D設計の場合、2D設計では熟練者でしかできなかった複雑な形状の設計も簡単に行なうことができ、新しいメンバーの設計業務での戦力化にもあまり時間を要しません。

お客様から頂く資料も、以前は2D-CADがほとんどで、線が多く理解するのに時間が掛かることもありましたが、最近は3Dデータで受領することも増えており、図面の読み取りミスの削減にもつながっております。

3Dデータをお持ちのお客様で、弊社へ製作を依頼して頂く際は是非、3Dデータをお送り下さい。
これまで蓄積された2D設計のノウハウを活かしつつ、3D-CADを使いこなし、お客様の期待にお応えしていきます。 以下に、当社が使用している設計ソフトについて簡単にご紹介いたします。

『Solidworks』

SolidWorksは世界100ヶ国以上で96万人以上のユーザーが使用する3DCADソフトであり、今やWindowsベースの3次元CADの代名詞となっています。
3DCADは機能性や価格などによって、「ハイエンド」「ミッドレンジ」「ローエンド」の順に3つに分類されていますが、SolidWorksはミッドレンジCADに属しています。その機能性・拡張性からミッドレンジでは最高峰と言われており、機械設計用途の3次元 CADとして幅広く使用されています。

弊社では板金設計への特化と汎用性、使い勝手等を総合的に判断し、2006年にSolidWorksを導入することに致しました。

SolidWorksの特徴を一言で表現すると、「フィーチャーベースのパラメトリックなソリッドモデラーである」という事ができます。

フィーチャーベース

フィーチャーとはモデリングを行う際の一つ一つの「要素」であり、「要素」を積み重ねることでモデルを作成することができます。

フィーチャーベース
パラメトリック

「フィーチャー」を作成する際には、寸法などいろいろ様々な条件を定義します。
モデルを作成する際に定義したパラメーターを変更することによって、モデルの形状を制御することが可能です。これにより、ユーザーは思い通りの設計変更を簡単に行うことができます。

パラメトリック
ソリッドモデラー

ソリッドモデルとは、中身が詰まった中実モデルであり、中空モデルであるサーフェスモデルが表面積などの計算しか行えないのに対し、ソリッドモデルはその性質上からモデルの質量や重心を計算したり、断面表示を行ったりすることができます。(サーフェスモデルの作成も可能です。)

ソリッドモデラー
3次元設計および検証機能

その他、板金設計、溶接設計、モールド設計それぞれに特化したコマンドの実装により、広い業種のユーザーにも満足できる汎用性を備えています。
また、「板金フィーチャー」による板金モデルの作成、評価機能による「干渉チェック」など、細部に至るまで追求された設計機能の充実は、快適な3次元設計環境の提供を実現します。

  • アッセンブリーでの干渉チェックを使用することにより、設計上の問題点がないか検証することも可能です。
  • 板金設計に特化したモデリング機能を使用することにより、作成した板金形状をボタン一つで展開することが可能です。
  • 3Dモデルから、2D図面を作成することも可能です。
  • Solidworksがなくても・・・
    e-Drawingsというビューワーをダウンロードすれば、Solidworksがなくても3Dデータを確認することが可能です。
  • 板金設計に特化したモデリング機能を使用することにより、作成した板金形状をボタン一つで展開することが可能です。

『SheetWorks for Unfold』

弊社では、(株)アマダが販売しているSheetWorksも使用しています。
SheetWorks はSolidWorksの拡張機能を使って、3Dデータを読み込み、外形線、曲げ情報、タップなどの加工情報付きの展開図を出力することができます。これによりCAMへのデータ移行をスムーズに行い、設計からデータの出力までにかかる作業時間を短縮することに成功しました。また、曲げ情報をそのままネットワーク機能付のベンディングマシンに読み込み、曲げ加工を容易にすることが可能です。他にも、寸法が異なる製品の3Dデータを自動で作成する機能や、展開図の自動出力を行うパッチ処理機能もあり、この2つの機能を使用することで、寸法が異なる製品の展開図をほぼ自動出力することもできます。

『EXPART-CAD(エキスパートキャド)』

現在設計業務に使用している2次元のCADソフトです。
CAD製図基準(案)にそった作図シート(レイヤ)設定と線種・色・縮尺などのパターン対応に伴い、新規図面作成はもちろん、CADとの高機能なデータコンバータを利用してのSXF標準フォーマット作成に対応しています。新たに搭載されたCAD製図基準ルールチェックツールを使えば完成図面チェックが簡単に行えます。チェック時に便利なズーム機能やハイライト機能で修正部分を表示でき図面を簡単に直せます。

*動作環境
OS ・・・Windows98(SE)/Me/NT4.0/2000/XP(Professional)
CPU・・・Pentium(400Mh以上推奨)
メモリ・・・Pentium(400Mh以上推奨)
HDD・・・50MB以上

『CADデータの受渡しについて』

最近では、電子メール等でCADデータを受渡しすることが多く、より合理的な設計業務ができるようになってきました。当社においても、お客様から頂いた
データを活用させて頂くことで設計業務の合理化・標準化・設計ミス撲滅に繋げられると考えています。お客様から頂くデータについては、主に以下のいずれかでお願いしたいと考えます。

  • (1)受渡し媒体
    電子メール CD-R DVD-R USBメモリー
  • (2)データ形式
    1)2Dデータ
    DXF Auto-cad(DWG) EXPART-CAD(DWG) PDF

    (2Dデータをお送りいただく際は、"文字化け"などが起こり正確な図面として読み取れない場合がありますので、できましたら同時にPDFをお送り頂きますようお願いいたします。)

    2)3D データ
    Parasolid(xt) STEP(step) IGES(igs) SlidWorks(各形式)
  • (3)圧縮・解凍形式
    LZH ZIP

各種CAMソフトを用いた自動化の取り組み

当社では㈱アマダ製の『SheetWorks』『Dr.ABE_Blank』と社内の『生産管理システム』を組み合わせる事で、受注生産故の多品種変量のネスティングに対応しております。

SheetWorksによる展開作業工数の自動化
『SheetWorks』の自動展開機能により、3DCADデータをDXF等の中間ファイルを介さずにCAMサーバーへ自動出力しています。
新規の注文が多い時期でも、展開及び変換作業による工程の遅れを発生させません。

Dr.ABE_Blankによるネスティング自動化
自動ネスティングソフトである『Dr.ABE_Blank』を三台保有しており、複合機三台が24時間稼動する為のNCデータを作成しております。

当社の『生産管理システム』と連携しており、ミスの発生しやすい入力作業も自動化する事で、複数製品を組み合わせたより複雑なネスティングも可能としています。



AP100によるNCデータ作成 NCデータ作成 シミュレーション